二度目の満月

主にHiHi Jetsのことを書きます

好きなひとに好きと

 「えっ?!アイツのこと好きなの?!ないわ~」
そう言われたとき、自分の嗜好は変なのだ、と思った。自分の好き、を本心で話すことが怖くなって、気が付けば「わかるー!いいよね~」と言われるような人の話ばかりするようになっていた。

くだらないと思われるかもしれない。アイドルの話である。

当時知ったばかりのアイドルグループに、クシャっとした顔と大きな声で笑う、身振りも大きくて常に明るい人がいた。彼の人柄と、たとえ端っこで踊っていても目を引く流麗なダンスが本当に好きだった。

でもその時、「私あの人良いなって思うんだよね」と打ち明けた友人からの冒頭の発言は、私の好き、を封じ込めるのに十分だった。というか、彼女の方がその分野ではファン歴が長くて、私は彼女に遠慮していたし、どこか機嫌を伺うような部分もあったと思う。ないわ~と距離を置かれてしまうことが怖かった。ただ幸いなことに私は、彼の隣で時折毒を吐く聡明な―彼なら私が好きになることに疑問を持つ人はきっといない―人のことを好きになった。推しはその人になった。今でも彼が月に1回5分程度出演するシーンのために2時間の番組を平日毎朝録画するくらいには、立派なオタクだ。それを後悔はしていないし、最初の人を通して今の推しに出会えたことを感謝している。この話は結果オーライ、めでたしめでたしである。

 話は少し変わるが、他にも同じようなことがあった。とあるアイドルグループの、とある一人のメンバーの歌声に痺れて、気になり始めていた。真面目な印象が一番に来る私(実際そんなことはないが)からは真逆のタイプの人だ。件の友人はそのときも言った。「えーちょっと、趣味ヤバいよ(笑)」と。

断っておくがその友人は今でもすごく仲が良いし、私は彼女の竹を割ったような率直な性格に何度も救われている。

趣味ヤバいよ、と言われたことと、自分自身彼を推すというのは自分に似合わないような気がしていて、それ以上彼に踏み込むことは止めようと思った。以来そのアイドルグループは箱推し、推しが決まらない、と言い続けてきた。みんな好きだもの。それでも全然構わない。

彼を好きでい続けることはきっとしんどい。少し前に彼は(真偽は定かではないが)振舞が自覚に欠けていたとして処分を受けたことがあった。その時に揺らがないほどは彼への気持ちがなくて、他のメンバーを推しにしようと何度も思った。そうなりかけた人もいる。きっと、誰を推しにしても楽しいだろうと思う。

 でも、「好き」ってきっと理屈じゃないのだ。似合わなかろうが趣味が悪いと言われようが、ときめくのは彼なのだ。チャラさを控えめにして色香を漂わせ始めた彼のパフォーマンスやらヘアセット動画を1人見て、「ああー好き!」って呟くなんてこと、推しじゃない人にします??しません。

彼の歌声が好き。
気を遣える優しいところが好き。
おバカだけどそのことをあっけらかんと笑い飛ばす明るさが好き。
笑うと目尻が下がるところが好き。

好きなひとに好きと言える自分でいたい。ただ、自分のために。

Stay Homeはじっくり推しへの気持ちを温められるから最高だなぁと思いながら、今日は眠ることにします。オタクって楽しい。